エンゼルランプの花言葉



 ハワードとチャコは今日の食料を探すために森を歩いていた。
 しかし、花は多いものの、実は無い。
 今から実ぃに、なるんならええんやけど、食べられへん種だけやと、悲しいなぁ。
 チャコはそんな事を思いながら、右に左にと咲く花を見つめる。
 そしてふと、ある花に目が止まった。
「ふーん。色はちゃうけど、エンゼルランプに似とるなぁ」
「あー? エンゼルランプ〜?」
 後ろから聞こえた言葉にハワードは振り返って、チャコの目線を追う。
 視線の先にあるのは食べられもしなさそうな花だ。
「んっだよ、それがどーかしたのかよ」
「別にどうもあらへんで。ただ、ウチの中にあるデータによく似た花があったからな」
 チャコは言いながら花をまじまじと見て、触る。
 やはり質感などもよく似ている。
 時折、自分達がよく知っている地球にある花と同じような物を見かける事がある。
 他にもこういうのがあるのだろうか。
 そんな考えを廻らせるチャコにハワードの呑気そうな声が聞こえてくる。
「ふーん。花ねぇ。女子供はこんなの好きだよなぁ。あっ! そぉーだ。なんだったら、コレ、メノリやルナに持って行くか!? 花が似合うような、少しは女らしいやつになれって言いながらよ」
 ケラケラケラと笑いながら言ったハワードの言葉にチャコは思わず吹き出した。
「ぶっ! あははははは」
 腹を抱え笑い出したチャコにハワードは、だろ? と満面の笑みを浮かべ指を鳴らし、チャコを指さすが、チャコの感想は違った物だった。
「あははは! ベルやカオルからならともかく、ハワードからなんて、ルナやメノリどころかシャアラやウチかて貰いたくあらへんわ!」
「な、なんだとぉ!!」
 一気に顔を紅潮させ、ハワードは吼える。
「エンゼルランプの花言葉は『あなたを守りたい』や! いっつもルナやメノリに守られてばっかりのハワードには過ぎた花やろ!!」
「なっ!? なっにぉー!!」
 怒りで顔を真っ赤にし、ハワードの全身は小刻みに震えてきた。
「ハワードはむしろ、『私を守って〜』やろ!?」
 けらけらとチャコは笑って、別の花に気づいた。
「コレ、これなんか、ええんやないか?」
「なんだよ、これ」
 むすっとしたまま、ハワードは尋ねる。
「葉っぱの形は違うけど、秋の麒麟草にそっくりや!」
「……で? 花言葉は?」
 怒りに怒鳴りたいのを堪えてハワードは問い返す。
 ハワードにしては珍しい行動だ。
「『警戒・要注意・用心』や。ハワードにはぴったりやろ?」
 かわいいポーズと、かわいい声でチャコは言って、ハワードの堪忍袋の緒が切れた。
「このポンコツロボットォォォ!!」
「誰がポンコツやねん!!」
 子供のように掴み合いのマジゲンカが始まる。
 外見も種族も違うがまるでそれは兄弟げんかのようで、丁度その時、少し離れていた所で一部始終を見る事になったカオルは、ほんの瞬き程の時間、どうするべきか考えたが、くるりときびすを返した。

 止める者の居なかったケンカは、体中土にまみれた二人を作る事になり、その夜、ハワードはメノリに、チャコはルナからこっぴどく怒られたという。



「なぁ、おい!」
「なんだ?」
「何?」
 一日も終わり、説教も終わったので明日に備えて切り上げようとした時、ハワードから呼び止められる。
「ボクは、こんなんだけどなぁ。お前らからぜーーーーったいに、『エンゼルランプ』なんて貰わないからな!! バカにするなよ!!」
「は?」
「なんだ?」
 ハワードの言い捨てるような言葉とは対称にルナとメノリはわけが分からず困惑気味で、首を傾げたり、お互いに顔を見合わせてたりする。
 意味が分からないと言うのは二人の様子を見ていても分かるのだが、ハワードはそれ以上何かを言う事もなく、ズシズシと荒っぽい足取りで戻っていった。
 残されたルナとメノリは呆気に取られてその背中を見送っていたが、顔を見合わせて、苦笑とともに肩を竦めて二人もまた、みんなと家へと戻っていった。











 
 後書き 
 別のブログで作っていたサヴァの小説です。
 書いていたのを私もすっかり忘れてました。
 ので、最近更新遅いし、とあげておきます。



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